在留資格とは
外国人(日本国籍を持っていない人)が日本に入国する場合、滞在日数や目的、出身国によって必要な手続きが変わってきますが、90日以上滞在する場合、または就労する場合は、もれなく、身分や立場に応じた活動を認める資格「在留資格」が必要となります。
外国人(日本国籍を持っていない人)が日本に入国する場合、滞在日数や目的、出身国によって必要な手続きが変わってきますが、90日以上滞在する場合、または就労する場合は、もれなく、身分や立場に応じた活動を認める資格「在留資格」が必要となります。
在留資格のうち「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」「日本人の配偶者等」については就労に制限がなく、業務の範囲も限定されません。
これ以外の在留資格については、就労は認められるが業務範囲が限定される在留資格(就労ビザ)と、就労自体が認められていない在留資格とがあります。ただし就労が認められていない在留資格でも、資格外活動許可を受けた場合は、一定の範囲内でアルバイトなどの就労が認められます。
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
---|---|---|
外交 | 外国政府の大使,公使等及びその家族 | 外交活動の期間 |
公用 | 外国政府等の公務に従事する者及びその家族 | 5・3・1年・3カ月・30日・15日 |
教授 | 大学教授等 | 5・3・1年・3カ月 |
芸術 | 作曲家,画家,作家等 | 5・3・1年・3カ月 |
宗教 | 外国の宗教団体から派遣される宣教師等 | 5・3・1年・3カ月 |
報道 | 外国の報道機関の記者,カメラマン等 | 5・3・1年・3カ月 |
高度専門職 | ポイント制による高度人材 | 1号5年、2号無期限 |
経営・管理 | 企業等の経営者,管理者等 | 5・3・1年・3カ月 |
法律・会計業務 | 弁護士,公認会計士等 | 5・3・1年・4・3カ月 |
医療 | 医師,歯科医師,看護師等 | 5・3・1年・3カ月 |
研究 | 政府関係機関や企業等の研究者等 | 5・3・1年・3カ月 |
教育 | 高等学校,中学校等の語学教師等 | 5・3・1年・3カ月 |
技術・人文知識・国際業務 | 機械工学等の技術者等,通訳,デザイナー,語学講師等 | 5・3・1年・3カ月 |
企業内転勤 | 外国の事務所からの転勤者 | 5・3・1年・3カ月 |
介護 | 介護福祉士(要資格) | 5・3・1年・3カ月 |
興行 | 俳優,歌手,プロスポーツ選手等 | 3・1年・6・3カ月・15日 |
技能 | 外国料理の調理師,スポーツ指導者等 | 5・3・1年・3カ月 |
特定技能 | 特定産業分野(※)の各業務従事者 | 1年・4・6カ月(更新して通算5年まで) |
技能実習 | 技能実習生 | 評価試験合格など条件により最長5年 |
※介護,ビルクリーニング,素形材産業,産業機械製造業,電気・電子情報関係産業,建設,造船・舶用工業,自動車整備,航空,宿泊,農業,漁業,飲食料品製造業,外食業
上の表の通り、それぞれの就労ビザには具体的な活動内容が割り当てられており、原則として、その活動以外の職業で収入を得ることはできません(就労ビザは1人1種類しか得ることができません)。例えば語学教師として日本に来日した外国人が、別のビジネスを立ち上げる場合、そのままのビザでは違法な就労となります。在留資格以外の活動に変更したい場合は、在留資格の変更手続きを行い、ビザを変更する必要があります。
就労ビザの中から、いくつか特筆すべきものについて説明します。
2012年、優秀な外国人材を積極的に受け入れる目的で「高度人材ポイント制」が導入されました。高度外国人材の活動内容を「学術研究」「専門・技術」「経営・管理」に3分類し、学歴、職歴や年収などの項目ごとにポイントを設け、ポイントが合格点の70点に達した場合に、在留資格の待遇を優遇するものです。具体的には、他の就労ビザでは複数の活動が認められていないのに対して、複合的な活動を認めたり、配偶者の就労や親の帯同を認めたり、さらに一定期間高度専門職で活動すれば在留期間が無期限になる制度もあります。
2017年、新しい在留資格として「介護」が導入されました。日本国内の介護分野での人材不足を解消するために、外国人材に活躍してもらおうというのが狙いです。介護ビザは、日本の介護福祉士の国家資格が必須となります。このためこのビザを取得するための一般的な流れは、まず日本語学校へ留学し日本語を身につけた上で、介護の専門学校などで専門教育を受け「介護福祉士」の資格を取得します。そののち、介護施設と雇用契約を結び、在留資格を「留学」から「介護」に変更し、施設で就労するという運びになります。(2021年の現在は経過措置として、専門学校を出れば国家試験を受けなくても、一定期間、介護福祉士の資格が得られます。2022年度からは卒業後に別途国家試験が必要になります)
2019年、新しい在留資格として「特定技能」が導入されました。これまで外国人受け入れはある程度の専門性を有した人材に特定されており、現業(単純作業と考えられる仕事)への就労は認めていませんでした。しかし国内の深刻な人手不足を背景に「特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能」を必要とする業務を認めることになり、一部の職種で現業での外国人受け入れが始まりました。
技能実習ビザは、外国人技能実習制度に基づき日本で就労する人のための在留資格です。この制度は、開発途上国の外国人を日本で一定期間受け入れ、仕事での指導を通じて技能を伝承し、母国に持ち帰ってもらうという国際貢献のための取り組みです。もとは1993年に導入された制度ですが、適正な人材教育が行われなかったり、人権侵害と思えるような事例が見られるなどの問題があり、2017年に制度の見直しが行われました。