各国の留学生受け入れ政策と状況|外国人雇用のための外国人求人マスター

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留学生の受入の多い国TOP5(2016年UNESCO調べ)

1位 アメリカ 97万人
2位 イギリス 43万人
3位 オーストラリア 30万人
4位 アンゴラ 25万人
5位 フランス 25万人

1.日本における留学生受入政策

日本では第二次世界大戦後まもなく、当時の文部省が「国費外国人留学制度」を立ち上げました。対象は主にアジア諸国で、目的は国際文化交流や友好親善の促進、外国の人材育成に貢献するといった意味合いが色濃くありました。
1980年代には、世界における日本の立場や役割が重要になる一方で、日本と各国との間に経済摩擦が生じていたことも背景にあり、経済界を中心に人的な国際交流の必要性が問われ始めました。そこで「留学生10万人計画」と呼ばれる積極的な留学生政策が展開されます。大学の受け入れ体制強化、日本語教育推進などが実施されました。
2000年代以降は、IT分野をはじめとする様々な分野での人材不足により、高度人材の獲得への模索が始まりました。内閣官房長官のもとで「高度人材受入会議」が発足し、2008年には「留学生30万人計画」、2009年に「外国人高度人材受入政策」が発表されました。そこから出入国管理で、高度人材外国人の受入促進のためのポイント制の導入が始まります。
「10万人計画」の時代と異なり、日本の文化を積極的に発信して来日前のリクルートを国策として行い、卒業後も日本に定着し日本企業で活躍してもらうために、産学官が連携して事業が進められています。2019年度には31万人となり、当初の目標を達成しています。

2.アメリカにおける留学生受入政策

世界最大の留学生受入国であるアメリカ。アメリカには世界で一番多くの大学があり、その種類も基礎的なものから研究に力を入れているものまで、多岐に及んでいます。留学生の数は、1955年には3万4千人だったのが、2015年には100万人を超えるまでになりました。この増加の背景には、卒業後も企業にとどまれる制度を設けるなどして、門戸を広げてきたことなどがあります。
ところが独走態勢だった留学受入大国アメリカですが、2016年、2017年と大幅な減少となりました。この要因としては、トランプ政権による反移民政策や、学生ビザの厳格化などが考えられます。2021年にふたたび政権交代が行われたことにより、今後の政策が留学生の人数にどのように影響するか、注目されます。

3.イギリスにおける留学生受入政策

イギリスでは1960~1970年代まで、旧植民地からの留学生を受け入れ、政府から大学に補助金が拠出されていました。しかし1980年頃から見直しが行われ、欧州圏外からの留学生には本人が経費を全額負担させる方針に転換しました。
この結果、1979年には8万2千人だった留学生は翌年には3万5千人と激減することになります。イギリスとEU圏外からの留学生が学費を全額負担する方針は、現在も変わっていません。
2000年以降はグローバル化する教育市場に政府が積極介入するようになります。イギリスでは留学生の受け入れ目的は、国際関係を醸成すること、長い目では政治や経済の点でを国益につながるとしており、授業料を高額に据え置きながら、魅力ある「英国の教育」を提供することで、政府の補助金なしに留学生を獲得する戦略を立てます。政府は各種機関と連携し、マーケティング活動に莫大な資金をつぎ込み、結果として2008年現在、41万人を超える留学生を受け入れており、高等教育機関の在学者数の27%を占めています。

4.オーストラリアにおける留学生受入政策

オーストラリアは長きにわたり「白豪主義」として、英語・英語系の豪州文化に同化できる者しか移民として受け入れていませんでした。しかし南アでアパルトヘイトが国際的に非難を浴びるといった動きを受け、民族差別を撤廃し、移民法も改正されます。
その頃の政権は1974年、高等教育への進学率を高めるために授業料を撤廃したのですが、同時に私費留学生も学費を免除しました。代わりに受け入れ数を1万人と制限するようになりました。
のち1984年、留学生は大学には学費を、地域には生活費などを落としてくれる外貨獲得の存在と見なされるようになり、学費の全額負担を求める代わりに、受入制限を撤廃しました。
2000年には留学生のための教育サービス法が制定され、留学生の権利や利益を守ることを明確に打ち出しています。留学生に与える教育を高め、お客様のようにもてなす国策の結果、留学生の数は劇的に増加し、アメリカ、イギリスに次いで世界で3番目の人気で、2位のイギリスに迫る勢いです。
留学生は経済を支えると同時に、日韓と同じく少子高齢化が進む同国において、移住を目指す留学生に対して、永住ビザ申請が有利になるなど、高度人材獲得の手段にもなっています。

5.中国における留学生受入政策

世界最大の留学生送り出し国である中国も、2000年代以降は受け入れ大国としても成長しています。将来世界の各国で、中国を良く知り、親中の人々を増やすことが国策の目的です。具体的な施策としては、奨学金の拡充、英語による授業プログラムの開設、受け入れ環境の改善を行うとともに、各国の在外公館で積極的な広報・誘致活動を行っています。
その結果として2017年度には約49万人の留学生(語学留学を含む)を受け入れるまでになっています。
また留学生のその後として、従来、外国人が中国に残って就労することは制限が多かったのが、一部の優秀な学生に対して機会が与えられるようになりました。また留学生のインターンシップやアルバイトなども段階的に認められるようになっており、留学生受け入れ拡大とともに、徐々に規制緩和の方向へ向かっています。

6.韓国における留学生受入政策

韓国では1965年に国内の労働力を画国へ送る機関として「韓国海外開発公社」が設置されています。これは当時の韓国は労働力の送り出し国であったことを意味します。しかし1980年代後半以降、経済発展や教育水準の向上などを背景に非熟練労働に就く若者が減少し、外国からの労働力を受け入れるようになりました。
その一方で、韓国も日本と同じように人口減少による労働力不足が深刻で、外国人高度人材の受け入れが進みます。2001年以降、理工系・技術系の人材獲得施策が導入され、2008年から2012年には第一次外国人政策基本計画、2013年から2017年には第二次外国人政策基本計画が進められ、人材の獲得だけでなく、長期滞在や永住ができるなど人材の定住化に力が入れられました。
留学生受入政策としては、2001年に「外国人留学生誘致拡大総合法案」として初めて示され、2004年には日本の10万人計画を模した「5万人計画」、2008年には「10万人計画」が打ち出されています。
具体的には、欧州など先進国からの留学生を奨学生として受け入れることや、IT分野などで中東地域からの学生を増やすこと、外国の大学との共同学位プログラム、英語専門科目増設などが盛り込まれています。

7.シンガポールにおける留学生受入政策

シンガポールは全人口の約3割が外国人という特異な国です。従来、留学生は母国へ帰る単なる一時的な滞在者と見なされていましたが、2002年に政府が打ち出したグローバル・スクールハウス構想により、積極的な留学生受け入れが始まりました。当時5万人程度であった留学生を、2015年までに15万人にまで拡大するという目標を立て、教育分野への投資を拡大する施策を打ち出します。
ところが2008年に9万7千人まで留学生の数は増加しましたが、その後の金融危機を契機に減少。さらに移民政策が国内の雇用機会を奪っているという国民の不満が高まり、結果として留学生の受け入れ人数を抑制すべきという認識になっています。