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外国人材が定着できるために

新規に採用した従業員が職場に定着するためには、日々の業務遂行や育成といった過程で、組織側と本人と双方の努力が不可欠ですが、特に外国人の場合は、文化や流儀の違いなどが原因でモチベーション低下、離職へつながるケースが少なくありません。
外国人材の定着を図るために、雇用する側はどのような点に留意したらいいのでしょうか。ポイントを見ていきましょう。

1.新人は「下積み時代」ではない

日本では、近年こそ経験者を採用したり、実力や成果主義といった価値観を取り入れたりする企業が見えていますが、長い間培われてきた終身雇用が前提という価値観は多くの組織に根強く残っています。このため人事制度でも、日本企業は年功序列の考え方が色濃く、特に採用したばかりで社歴の浅い人は「見習い」「下積み」と扱われる風土があります。その会社独自の手順などを覚えるまでの一定期間は仕方ないとしても、いつまでも仕事を任されず専門や経験を活かせずにいることに、外国人社員は失望します。

海外では企業側も社員側も「3年」が一つのターニングポイントであると考えられています。新卒で採用した社員の勤続年数が平均3年で、この期間でその組織で働くことの将来の可能性を見極めるのだそうです。 外国人が定着して能力を発揮し、企業としての組織力を高めるためにも、雇用する側の意識改革が必要といえます。

2.「ジョブ型」採用なのかを双方で明確に

自分の能力を活かしたいと思っていた外国人が失望し離職してしまう要因の一つとして、期待していたのと異なる仕事を担当するケースです。
その背景の一つに、欧米など海外で見られる「ジョブ型」雇用と、日本型の雇用形態である「メンバーシップ型」雇用との違いがあります。
外国では、一定の分野のスペシャリストとして働く傾向が強くあります。大学でマーケティングを学んだとしたら、その知見を活かした仕事・ポスト(=ジョブ)に応募して職務に当たります。契約期間はそのジョブの期間であり、雇用が長く保証されているわけではありません。しかしあらかじめ職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)で明示された以外の仕事は発生しませんから、入社したてだからと言って、庶務や雑用をさせられるなどと言うのはあり得ません。
仕事が変わる場合は社内の部署異動ではなく、同じ職種で他の企業へジョブ・ホッピングすることは極めて普通のことです。競合他社へ転職して同じ業務を担当したり、キャリアを積んだ後にその業界のコンサルタントとして活躍する人も珍しくありません。

一方、日本の新卒採用を見ると、技術系と法務や知財、経理など一部の事務職は、専門性を考慮して採用、配属されるのが普通ですが、営業・マーケティング、人事総務、企画、調達などの職種は、学校での専攻に関係なく配属されることが多く見られます。また就職した後も、会社に対して勤め続けるという意識が強く、同じ社内で違う職種への異動というのも普通に見られます。このような雇用形態を「メンバーシップ型」と言います。
外国の人から見るとこれはとても奇異に感じるようで、採用担当者が面接の際に「私も商学部の出身ですよ」と話したら「それなのになぜ採用担当なのですか」と驚かれたという話を聞いたことがあります。

外国人材を採用しようとするのであれば、このような文化の違いを認識したうえで、採用と配属でミスマッチのないように配慮しましょう。
もしも「メンバーシップ型」で外国人材を雇用しようと考えるのであれば、メンバーシップ型の良い点もありますので、メリットデメリットなどを採用の段階で説明しておきましょう。

【それぞれの雇用形態のメリットとデメリット】

◎メンバーシップ型のメリット
・雇用が保証されており、期間も無期限であり、従業員の流動性が低い
・新卒採用があり、会社側が人材教育を提供する

◎ジョブ型のメリット
・職務があらかじめ明文化されており明確
・残業などは契約時に定められた範囲だけ
・原則として異動はない

×メンバーシップ型のデメリット
・職務の範囲が不明確で、雑用も含め広範囲にわたる可能性がある
・異動の可能性があり、原則として拒否はできない

×ジョブ型のデメリット
・スキルアップは個人に依存するもので会社は教育しない
・雇用期間は限定的で職務が終了次第解雇となるので、流動性が高い

3.評価制度や働き方への考え方を理解する

企業によっては、目標管理制度や業務の達成度合いに応じた評価システムなどを導入しているところもありますが、まだまだ評価や査定はあいまいに行われることが多く、それに対して従業員は受け身でいることが多いでしょう。
しかし外国人は自分の評価が納得いかない場合に、臆することなく率直に尋ねてきます。この時に納得のいく説明がなされれば、次へのモチベーションにつながりますし、逆にあいまいなままだと失望し、やがて離職の要因になるかもしれません。

それと労働時間に対する考え方も異なる場合があります。
日本人は最近こそ、コロナ禍によるリモートワークが増えたりして、長時間オフィスに残って働く傾向が減りつつありますが、それでも定時で終わらなかったら残業をしてでも仕事を片付けます。それが多くの日本人の常識です。

しかし夕方には帰宅して家族で食卓を囲むというライフスタイルが普通である外国人にとっては、定時になったら仕事は終わり、続きを翌日に行うのが常識です。
この違いを理解することなく「まだ仕事が終わっていないのに、定時に帰るなんて」と非難することは控えなくてはなりません。
納期のある仕事を任せる時に、どうしても期日までに終わらせる必要があること、それができない場合には残って仕事をしてもらいたいこと、そして残業手当という対価が支払われることをきちんと説明しましょう。

4.異文化で奮闘していることを慮る

日本人の従業員同士は同世代の仲間もいて交流もできますが、こと外国人社員は孤立しがちです。地域コミュニティに溶け込むこともそう簡単ではないことを考えると、本音でものを言ったり、話を聞いてもらう相手がなかなか出来ない可能性があります。
そのようなことを配慮し、ぜひ後見役の社員(メンター)を任命することをお勧めします。必ずしも同じ職場である必要はないので、むしろ異文化コミュニケーションが得意だったり、外国に対して理解のある人であれば、部署や立場に関係なくアサインすると良いでしょう。仕事や日々の暮らしで奮闘している中で、少しでも腹を割って話ができる人がいることは、定着率を高める一助になるかもしれません。